ValueClickの掲載サイトになって、広告収入をゲットしよう!
インターネットで繁盛を呼び込め!
〜執筆者:入江直之〜

【1】本文
現在、大きな問題となっているネット株の大暴落をはじめとして、昨今では、良きにつけ悪しきにつけ新しいビジネスモデルとして引き合いに出されるインターネットであるが、お客様に来店していただき、店内で飲食の時間を楽しんでいただくことがビジネスの基本である飲食業界としては、こうしたインターネット上での騒動からは一歩引いた立場で、この動向を眺めているという感がある。
とは言え、時代の流れに敏感な経営者が、インターネットをまったく無視する訳にもいかない。
そんな状況の中で、今回、「飲食店経営」編集部が、飲食企業各社に「ホームページ」に関するアンケートを行った結果をご報告したい。
この内容が、皆さんにとってアッと驚くものであるのか、当り前と感じるものであるのかは判らないが、とにもかくにも、これが飲食業界のインターネットの現状である。

なお、この調査は「飲食店経営」編集部が、JF加盟の会員企業400社を中心に独自に行ったアンケート結果を集計分析したもので、編集部で行った「アンケートの設計」および「各社の業態分類」以外の、集計・分析・コメント等に関する文責は全て筆者にある。編集部および各社の回答の主旨を正しく把握・表現できていない面があれば、すべて筆者の責任であり、あらかじめお詫びする次第である。 また、インターネットを論ずるのに、企業規模の大小はあまり意味がないという考えから、編集部にお手伝いいただき、企業単位のアンケートを、あえて業態別に括るという、かなり無茶で大雑把な方法で分類してしまった。あくまで、ひとつの傾向として見たものとしてご理解願いたい。

アンケートの各項目については、それぞれのグラフ等とコメントを参照していただくとして、ここでは、あえてホームページを作らないインターネットの活用について述べてみたい。
ネット上をじっくりと眺めてみれば、個人や小規模のグループが情報発信する「食」関連のサイト(ホームページ)が星の数ほど存在する。こういったサイトでは、様々なジャンルの「食」に関する情報が、個人と個人との間で日夜飛び交っており、その伝達スピードは他のメディアとは比較にならない。 筆者はこれを「ネット口コミ」と呼んでいるが、特にわが国では「食」のジャンルで、この「ネット口コミ」の果たしている割合は決して少なくない。
実は、ネット上には、非公式の「アン・オフィシャル・サイト」と呼ばれるホームページが多数存在する。これは、例えば企業の社員やOB、あるいはその商品やブランドなどのファンである個人が立ち上げているホームページで、ここでは、非公式なかたちで、さまざまな情報が流通している。外食チェーンの多くにも、こういったサイトが存在しており、某バーガーチェーン大手の非公式サイトは、公式サイトができるずっと前から、ネット上では有名であった。
また、現在では、ユーザに対するダイレクトなメディアとしては、ホームページよりも、メーリングリストやメールマガジンのようなメールメディアの方が遥かに有効であることも常識となっている。

こうした、個人情報の波の中に乗り込んで行くことで、自社でホームページを持つことはなくても、情報発信や宣伝広告、あるいは顧客情報マーケティングといった分野でのインターネットの活用は充分に可能なのだ。 インターネットとは、まったく新しい時代のメディアであり、従来の経験則や勘だけではとても使いこなすことができない。真剣に、インターネットに取り組もうと思ったら、かつて流行った「ぶらぶら社員」のような、マーケティングのできる「ネットサーファー社員」を置くぐらいの意気込みが必要なのかも知れない。

なお、筆者としてはアンケートの「アクセス数」に関する項目に大変興味があったのだが、この項目に関しては設問の表現が若干曖昧で、かつ記述式の回答であったため、あまりに各社の答え方がバラバラになってしまい、これを定量的に集計することができなかった。
しかし、お客様が来店してこその店舗であるのと同じように、アクセスがあってこそのサイトである。アンケート回答にあった某(最大手)企業の「一日10万件!」というアクセス数は、例えそれが「ヒット数(注)」であっても、このサイトだけで何らかのビジネスが成立するほどの膨大な数だ。また、各社の回答のうち、アクセス件数を「セッション数(注)」として正式に記述していたのは2社のみであった。
ホームページ制作会社の口説き文句に惑わされないためにも、ホームページへのアクセス数とは何か、どのようにカウントされているのかについては、正しく把握しておいた方が良い。 この文の最期に、アクセス数に関する用語の意味を付記しておいたので参照していただきたい。

(注)アクセス数に関する用語
●ヒット
サーバ・コンピュータにリクエストされたオブジェクト(文字や画像のファイル)の総数。例えば、10枚の画像が貼り込んである1枚のページ見ようとすれば、その段階でヒット数は11ヒットとなる。大きな数で驚かすための数字で、実体はあまり意味がない。

●ページビュー
ページの基本となるHTMLファイルがサーバから引き出され、表示された数。これが実質的なアクセス数に近く、カウントも比較的しやすいため、現在は多く利用されている。バナー広告などの場合は、同じことを「インプレッション」という言い方をする場合もある。

●ビジター(ビジット)
ページ単位ではなく、アクセスしたユーザが「延べ何人か」という考え方。サーバのアクセスログを解析しなければ得られない。実質は次の「セッション」と同じ意味である。また、重複を排除した実質人数はユニークビジター数と呼ばれる。

●セッション(ユーザセッション)
Webサイトを訪れたユーザがサイト内で行なう一連の行動をまとめて1セッションと呼ぶ。同一のユーザが、ある一定時間の間に何ページ読み込もうと、セッションは「1」である。同一のユーザでも、ある程度間隔が開いた場合は、新しいセッションとしてカウントする。どのくらい開いたら新しい訪問とみなすかについてはいろいろな基準があるが、30分というのが業界標準となっている。「ビジット」と同じ。


【2】グラフのコメント
●グラフ(1)と(2)
有効回答の105社を、ホームページの有る無しで分けたのがグラフ(1)である。実は、業態別に括ってみても、DR業態を除いて、この割合はほとんど変わらない(グラフ(2)参照)。実際にはDR業態が最もサンプル数が少なく、データの信頼性が低いことを考えると、ホームページを持っている企業が約7割という数値は、かなり正確な比率ではないかと思われる。(170)

●グラフ(3)
ホームページを開設している企業74社について、開設年度別に集計してみた。わが国でインターネットが話題になり始めたのが1995年の後半だったことを考えると、96年、97年の伸び率は理解できるが、98年、99年が意外と伸びていない。回答企業の中には「以前に開設していたが、97年頃に閉鎖した」というところもあったが、これは、思ったほど活用できなかったということであろう。98〜99年の伸び率の低さも、同様の理由と思われる。(209)

●グラフ(4)
現在ホームページを持っていない企業31社について、開設予定について聞いたのがグラフ(4)である。2000年開設予定が半数を超え、関心の高さも感じられるが、反面、「開設予定はあるが時期は未定」と「未回答(恐らく、あまり関心がない)」を併せると4割以上と、活用に関して疑問を持っている企業も少なくないことがうかがえる。小売業などに比べて、直接的な販売促進につながらないという飲食業界特有の反応であろう。(199)

●表(1)
ホームページを開設している企業に、開設の理由と狙いを訊いた。回答は記述式であるため、グラフに集計はできないが、比較的多かった回答は以下のようなものである。また、恐らく、企業としてホームページに対する明確なスタンスを確立できていないと思われる「未回答」が15社もあり、その他にも「当初はイメージアップを狙ったが、現在は、ただ設置しているだけ」「時代の流れ」などといった回答もあった。ここでも、時流を感じつつ、活用方法にとまどっている企業の対応が感じられる。(232)

このページのトップへ


表(1)
販売促進
顧客開拓
IR対応
リクルート
広報・広告宣伝
FC加盟者募集
販売促進
企業イメージ向上
顧客情報の収集

●グラフ(5)と表(2)
ホームページを開設している企業に、どのような内容を掲示しているかを訊いた。回答は「企業紹介」「決算数値」「各店概要」「店舗地図」「リクルート」「その他」という6つの選択肢の中から、複数回答で選んでもらう形式であるが、「企業紹介」と「各店概要」が中心という、オーソドックスな内容のホームページがほとんどであることがうかがえる。「リクルート」活用に比べて「決算数値」がかなり低いのは、株式を公開していない企業がかなりの数を占めているためである。「その他」の中には表(2)のようなのものが多かったが、「英語版」「メール配信」「物件公募」といった回答もあった。(276)

表(2)
クーポン
会員ページ
イベント・キャンペーン案内
予約サービス
新店・新商品紹介

●グラフ(6)と表(3)
「ぐるナビ」や「グルメぴあ」のようなサイトは、多くの人々にとって「インターネットへの玄関口」のようなものであるため「ポータルサイト」と呼ばれる。ホームページ開設企業に、こうしたポータルサイトへの登録、活用の状況を訊いた。選択肢は「ぐるナビ」「グルメぴあ」「その他」の3種類である。やはり、「ぐるナビ」はインターネット普及の当初から「飲食ポータルサイト」事業を行ってきただけあって、「グルメぴあ」を大きく引き離した。「その他」の中で飲食業に特有のものには、表(3)のようなものがあった。(243)

表(3)
サイト名称
企業名
JFグルメカード 日本フードサービス協会
ISIZE(イサイズ) リクルート
ミルウォークマップ 技研商事インターナショナル
まちこ NTTデータ


●グラフ(7)
ホームページの制作は、専門会社に依頼している企業が過半数を占めている。「その他」の中にも「内容は自社で、デザインなど技術的な部分は外注」「当初は専門会社で制作、現在は自社運営」などといった回答があった。もはや、ホームページは素人が制作できる域を超えているという現状と同時に、外部企業などの提案によりホームページを開設しているケースが多いことが推測される。(177)

●グラフ(8)
「ホームページ上で、何らかの特典を提供しているか」という問いには、約3割の企業が「提供している」と答えている。業態別では、比較的高単価なDR業態が最も多く、居酒屋業態が最も少ない。統計上は、サンプル数が少なく、企業別の回答を無理やり業態別に分類しているにもかかわらず、やはり、それなりの傾向が現れている。特典の内容は「割引クーポン」の類が圧倒的であるが、「アンケートで食事券」「本や雑貨、ソムリエナイフなど」といったものもあった。(213)

●グラフ(9)
ホームページ上での予約サービスについては、約8割の企業が「できない(もしくは行わない)」と、答えている。業態別で見ると、当然のことながら、「FFS」業態はほとんどゼロ(企業別の集計のため、予約可能が5%ほどあるが、実質はゼロに等しい)であり、「居酒屋」と「DR」では3割程度が予約可能となっている。比較的客単価が低いと思われる「居酒屋」業態が、一番多く予約のシステムを持っているのは、やはり宴会需用の多さであろう。ただ、ネット上からの予約の比率は、全体の1割以下という回答がほとんどで、唯一「3割」という効果的な活用を行っていたのは1社のみであった。(275)

●グラフ(10)
ホームページ上の情報更新の頻度は、「1ヶ月ごと」という回答が4割近くを占めており、週単位で更新している企業は10%にも満たない。ネット上の人気サイトのほとんどが「毎日更新」を原則にしている現状では、ほとんどの企業は、これ以上アクセス数を増やすことは難しいだろう。インターネット上では企業の知名度などはまったく関係がなく、コンテンツ(情報内容)の魅力だけが勝負なのだ。 「その他」の内訳は、「情報内容に追加変更があり次第、随時」と「毎日更新」のふたつに分かれた。(225)



【3】まとめ
わが国では、いまだにインターネットが低コストの情報メディアといった感覚でしか捉えられていない感があるが、米国を中心としたインターネットの世界では、インターネット・ビジネスは事業開始当初の投資効率が決して良くはないということが通説となっている。
つまり、非常に大がかりで遠大なビジネスモデルを構築し、インターネットのシステムと、そこに流れ込む膨大な投資マネーをベースに、赤字にもひるまず、ひたすら事業規模を拡大することで、ある時期から、マーケットのシェアを一気に手中に収めるような一大ビジネスが急激に確立される、というのが現在のEビジネスを成立させる構造であると言われているのだ。
インターネットがあくまで情報の流通メディアである以上、来店する顧客を相手に商品を提供する通常の飲食業が、インターネット上で販売できる商品は、現状ではごく限られている。
しかし、飲食業でインターネットが活用できる範囲は、簡単なホームページレベルでも「リクルート関連」「投資家に対するリアルタイムな情報提供」「FC加盟者募集」「物件情報募集」などがあり、さらに技術レベルを上げれば「オンライン予約」や、さまざまな手法を用いた「顧客情報の収集」、イントラネットとしてのシステム構築によって「遠距離にある本部・店舗間のリアルタイム情報交換」など、果てしなく広がってくる。
問題は、ネット上のサービスを「何に集中するのか」である。
エンドユーザの利用ということを前提に考えれば、ユーザがネット上で何らかの情報を探すという時に求めているものは「サービス情報」であって、「企業情報」ではない。つまり、ユーザが企業情報を検索せざるを得ないのは、手段としてであって決して目的ではないのだ。 企業の公式サイトは、名刺代わりのようなものであって、そこでビジネス上の効果を生むことはほとんど期待できない。
ネット上で効果を生むサイトを構築しようと考えたら、ユーザにとってどのように魅力あるサービスを提供できるか、それをどういったホームページとして展開するのかを考えなければならない。そういった独自のサービスに特化したサイトが構築できて初めて、インターネットの活用ということが言えるのである。


このページのトップへ
飲食店経営ノウハウ文献集


ValueClickの掲載サイトになって、広告収入をゲットしよう!